関東学院大学国際Service Learning
関東学院大学におけるタイ・ボランティア活動は当初、北部の古都チェンマイから300キロの山岳地帯、チパレ地方に住む少数民族(カレン族)にたいする国際ボランティア活動として行われた。当時チパレ地方には約40の村が点在し、学校は中心部のチェンマイ県ティワタ村にしか存在しない。通学に2日もかかる子どももいるため、就学できない子どもたちが多数存在した。就学できない子供たちは、共通語であるタイ語の習得が出来ないので、多くの場合仕事に就くことが難しい。また就労しても過酷な職種の仕事しかなく、買春の対象とされ、エイズの犠牲となる少女が後を絶たない。
この状況を改善するため、関東学院大学では、1999年より、国際交流プログラムの一環として学生と教師を現地に派遣し、国際ボランティア活動を開始した。以来300名を超す学生が奥地の集落を訪問し、ホームステイと建設作業、調査活動を通して村人との交流を深めてきた。ガスも水道も電気も無い村での生活は彼らにとって驚きと戸惑い、そして感動の日々であるが、実体験に裏付けられた学びは大きな糧となって彼らの中に蓄積される。創立以来30年を経て、この活動は同大学のボランティアサークル(Σソサエティー)は、文学部、工学部、経済学部、人間環境学部等、全学院の力が結集された支援活動として成長したといえる。
本活動は自発(自主)性、無償(無給)性、利他(社会、公共、公益)性というボランティア活動の定義に基づき、全ての活動資金を外部への募金活動によって得ることを旨とし、部員による募金活動、実作業、報告(活動・会計)という手順に沿って行われている。したがって参加者の旅費、現地でのプログラム開催費は自己負担とし、募金活動にて得られた献金は全てシェルター建設資金などに使われる。また支援先現地集落は現地組織に候補地の提示を依頼し、事前調査、審査を経て決定する。
森 島 牧 人